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【新企画】裏方ヒーローズ

裏方ヒーローズ #003|新田養豚 新田善洋さん

津山といえば、牛肉。古くから肉文化が根づき、牛肉やホルモンで知られる「肉の街」です。
そんな “牛の街” で、MEAT PAPAがあえて力を入れているのが「豚肉」です。お肉のスペシャリストでもある山本さんは、以前から豚肉の奥深さや面白さに魅力を感じていました。牛肉に比べて日々の食卓に登場する機会が多く、子どもから大人まで親しまれている豚肉。身近なお肉だからこそ、本当においしいものに出会ったとき、その違いも分かりやすい。「牛の街だからこそ、本当においしい豚肉を届けたい」。そんな思いから、MEAT PAPAではブランド豚をもっと広めていきたいと考えてきました。

実は、MEAT PAPAのロゴが「牛」ではなく「豚」なのも、そんな背景があります。
牛肉の街・津山にあるお肉屋さんだからといって、牛をシンボルにするのではなく、あえて豚を選ぶ。もっと豚肉のおいしさや奥深さを知ってほしい。毎日の食卓に身近な豚肉だからこそ、「本当においしい豚肉」を届けたい。そんな山本さんの思いが、MEAT PAPAの豚のロゴにも込められています。
そのMEAT PAPAが本気で惚れ込んだ豚肉を育てているのが、新田善洋さんです。出会いは2018年頃。山本さんが「おいしい豚肉を扱いたい」と知り合いに相談したところ、紹介されたのが新田さんの豚肉でした。まず肉を取り寄せ、家族やスタッフと一緒に試食。そのときのことを山本さんは「なんじゃ、こりゃあ!と思いました」と振り返ります。脂も違う。身も違う。焼いたときの香りも違う。さまざまなお肉を見て、食べてきた山本さんが「これは美味い!」と唸った豚肉でした。

一方、新田さんは「なんで津山で豚肉なん? 牛じゃろ?」と思ったそうです。牛肉の街で、なぜここまで豚肉に力を入れるのか。しかし山本さんは、日頃スーパーで買っている豚肉とは明らかに違う、このおいしさをもっと多くの人に知ってもらいたいと考えていました。そうして新田さんの豚肉は、MEAT PAPAにとって欠かせない存在になっていきました。
現在、新田さんの豚肉は「山本さんちの豚肉」の豚モモ、豚ロース、豚バラ、豚こま、みそ漬けなど、MEAT PAPAで扱う豚肉のほぼ全般に使われています。さらに、人気の揚げ物「豚のジューシー」「じゃがチー」「梅しそ」にも。つまり、MEAT PAPAで日頃手にしている “あの豚肉” の多くが、新田さんの育てた豚なのです。

では、なぜ新田さんの豚肉は、そこまでおいしいのでしょうか。その秘密の一つが「餌」です。新田さんが取り入れているのが、SGS(ソフトグレインサイレージ)と呼ばれる、米を発酵させた飼料。籾のついた米を砕き、乳酸菌などを加えて密封し、発酵させたものです。当時、岡山県ではほとんど行われていなかったこの方法を、新田さんは先駆けて試験的に取り入れました。
さらに、「麦系の餌は肉質に良い」と知り、パン由来の飼料にも着目。現在は、通常の配合飼料にSGSとパン由来の飼料を組み合わせています。いわば「米とパンで育つ豚」。こうした餌の工夫が、新田さんの豚肉のおいしさを支える一つの要素になっています。
ただし、おいしさの秘密は「何を食べているか」だけではありません。「どう食べさせるか」にも、新田さんならではのこだわりがあります。多くの大規模農場で自動給餌が進む中、新田さんの農場では、今も豚の状態を見ながら人の手で餌を与えています。SGSやパン由来の飼料は水分量や重さが異なるため、自動給餌では均等に混ぜることが難しい。そのため、餌を自然に混ざるよう工夫しながら手作業で与えています。
そして、手で餌を与えることは、豚の体調を見る時間でもあります。元気な豚は餌の時間になるとすぐに立ち上がりますが、体調が悪い豚は餌を食べに来なかったり、立ち上がらなかったりする。毎日、人の目と手で豚と向き合うからこそ、小さな変化にも気づくことができます。

特に近年は、夏の暑さも大きな課題です。豚は人間のように汗をかいて体温を下げることが苦手なため、暑さの影響を受けやすく、餌を食べなくなることもあります。新田さんは、風通しを良くしたり、扇風機を使ったりしながら、一頭一頭の状態を確認しています。こうした日々の細かな管理が、安定した品質につながっています。
その違いは、実際の「味」にもしっかり表れています。山本さんがまず挙げるのが、豚肉特有の臭みの少なさ。脂がしっかりあるのに、くどくない。噛めば噛むほど旨みや甘みが広がる。豚しゃぶや鍋にするとアクが少なく、スープがきれいなのも特徴です。

さらに山本さんが評価するのが「味の安定感」です。「他の豚肉は季節によって水っぽかったり、脂の状態が違ったりすることがあります。でも、新田さんの豚肉はずっと安定している。むしろ、脂は以前よりきれいになっているように感じます」と話します。さまざまなお肉を見て、食べて、扱い続けてきたMEAT PAPAだからこそ分かる違いがあります。
そんな山本さんを、新田さんは「変態じゃな(笑)」と表現します。もちろん、最大限の愛情とリスペクトを込めて。「そこまでうちの豚をひいきにしてくれるのは、変態じゃ。と思います」と笑う新田さんに、山本さんも「間違いないです。お肉の変態です(笑)」と応えます。

生産者である新田さんには、実際に食べたお客様の声が直接届く機会は、それほど多くありません。一方、MEAT PAPAには「今まで食べていた豚肉と違う」「子どもがよく食べる」「また買いたい」「友達の家で食べておいしかったから買いに来た」といった声が届いています。MEAT PAPAがその声を新田さんへ届け、新田さんが育てた豚肉の魅力を、今度はお客様へ伝えていく。そこには、単なる「生産者」と「お肉屋さん」という関係を超えた、互いへの信頼があります。
新田さんがおすすめする食べ方は、とてもシンプルです。「Simple is the best」。凝った料理にするよりも、焼いて塩・こしょう、あるいは豚しゃぶ。濃いタレや複雑な味付けをしなくても、肉そのものの旨みと脂の甘みを感じることができます。おいしい肉ほど、余計なものはいらない。それが、新田さんと山本さんの共通した考えです。
これから挑戦したいことを聞くと、新田さんから返ってきたのは「今の品質を担保していくこと」という言葉でした。年々厳しくなる夏の暑さ、上がり続ける餌の価格、SGSに使う米の確保。環境が変わっていく中でも、「いつ食べてもおいしい」を守り続ける。それもまた、生産者にとって大きな挑戦です。

今回の取材を通じて見えてきたのは、新田さんの豚肉のおいしさには、たった一つの “魔法の秘密” があるわけではないということ。米とパンを使った餌を工夫する。機械任せにせず、人の手で餌を与える。毎日豚を見て、小さな変化に気づく。環境の変化と向き合いながら、変わらない品質を守る。その一つひとつの積み重ねが、あの味をつくっています。
「山本さんちの豚肉」の豚モモ、豚ロース、豚バラ、豚こま、みそ漬け。「豚のジューシー」「じゃがチー」「梅しそ」。
MEAT PAPAで何気なく手に取っている豚肉の向こう側には、毎日豚と向き合い、おいしさを守り続けている新田さんとご家族がいます。
おいしい豚肉は、偶然できるものではない。
牛の街・津山で、MEAT PAPAがあえて「豚」を掲げ、本気でブランド豚を広めていこうとしている理由。その背景には、豚肉そのものの奥深さへの思いと、「これは美味い」と惚れ込んだ新田さんの豚肉との出会いがありました。
次にMEAT PAPAで豚肉を手に取るとき、ぜひ少しだけ、その向こう側にいる新田さんのことを思い出してみてください。
いつもの「おいしい」が、きっと少し違って感じられるはずです。
おいしい理由は、必ずある。
新田さんが育てた豚肉は、MEAT PAPAのオンラインショップでもご購入いただけます。

https://meat-papa.com/product-category/pork
新田さん、ありがとうございました。
